アーマード・コア V』の徹底したこだわり

フロム・ソフトウェアから、10月20日に発売される『アーマード・コア V(以下、ACV)』. 本作を手掛ける鍋島俊文プロデューサーへのインタビューを掲載する. 『ACV』は、自由度の高い機体カスタマイズ、愛機を自由に動かせる操作感などが人気を博すメカACT『アーマード・コア』シリーズの最新作. 従来作の遊びに"チームによる領地争い"という新たな遊びが加わった『ACV』は、それを軸としたさまざまな新要素が採り入れられる. その一端については、これまでの記事でもお伝えした通りだ. ●これまでの記事 →新しくなった『ACV』の概要紹介 →領地争いとオペレーターなどの紹介 →シングルプレイについての紹介 →パーツとアクションについての紹介 →領地を奪うまでの流れと世界観の紹介 →ストーリーミッションのキャラと声優コメントを紹介 →鍋島プロデューサーへのインタビュー(2月21日掲載分) →鍋島プロデューサーへのインタビュー(3月31日掲載分) →鍋島プロデューサーへのインタビュー(4月23日掲載分) 記事では、『電撃PlayStation Vol.495』(アスキー・メディアワークス刊)に掲載されたインタビュー企画"おしえて鍋島さん"第2回のロングバージョンを掲載する. 大幅に変化したパーツや武器の特徴、新しいアクション、細部にいたるこだわりなど、さまざまな話を伺っているので、ぜひ最後まで読んでみてほしい. また、インタビューの後には、明日21日に最終日を迎えるPS3クローズドベータテストや、7月29日に開始となるXbox 360クローズドベータテストの実施を受け、鍋島さんよりコメントをいただいているので、そちらもあわせてご覧いただきたい. パーツの大幅見直しの理由は? ――まずは、腕部パーツや武器パーツなど、パーツカテゴリに大幅な見直しがされた理由を教えてください. 新しい『AC』を作る時はいつもそうですが、当然これまでと違うものを作りたいという方針があるんですよ. そして今回は、新しい『AC』を考えていくということで、これまでよりも長い開発期間をかけることができたので、細かいところでも、これまで気になっていたところはできるだけ手を加えていこうという考えがありました. たとえば腕部パーツでいえば、これまでは他のパーツに比べて要素が少なかった. たとえば脚部パーツであれば、大きくいくつかのタイプがあって、どのタイプを選ぶかによってACの方向性が大きく変わるので、まずはそこの選択がある. そしてその後に、積載量とか防御力とか、具体的なパラメータを見ていくわけですが、違うタイプ同士だと仮にパラメータが同じでも、一概には比べられない. つまり評価の基準がたくさんあるんですね. けれど腕部パーツは、防御力なんかも脚部やコアと比べて低いし、特徴のあるパラメータも、撃つこと斬ることの補正的な意味しかない. ――そういえばアセンブルの時、腕部パーツは他のパーツほど悩まないことが多いです. そうだと思います. 機体を作る上で、評価する基準となる要素が少なかったり、弱かったりすると、やはり選択が簡単になってしまう. パラメータが多いことは、ゲームが複雑になっている要因でもありますが、『AC』の場合はアセンブルでの試行錯誤がないとおもしろくない. パーツの要素が少なければ、一番強いパーツ・強いACはこれだ、と簡単に出来上がって、人それぞれのスタイルも生まれなくなりますからね. それで話は少し離れますが、格納武器というのは一体どこに入れているんだ、という話も一方であって(笑). ――確かに、武器をパージする(切り離す)と、何となく装備していますね(笑). だから、それを絵的に説得力がある形で、表現したいというのもあったんですよ. 機体のどこかにぶら下げて、武器を持ち替えるみたいなのはどうだ、という話をして、それならロボットに手が付いている意味もあるだろうと. それで、肩に武器パーツを吊り下げるという形が決まってきたんです. ――なるほど. それでハンガーユニットの登場が決まったのですね. はい. でも今度は、肩に装備していた武器は、どこに行けば? という話になる. そこでさっきの話ともつながって、背中や肩の武器を腕の中に入れてしまえばいいのではないか、と考えたわけです. そうすることで、腕部パーツによって、ショルダーユニット(肩の格納部に装備する武装)を搭載できる腕と搭載できない腕があり、搭載できる場合も片側だけか両方かと、大きくタイプを分けました. だから『ACV』の腕部パーツは、ショルダーユニットを積まないのか、片方だけ積むのか、両方積むのか、という脚部タイプを選ぶような選択があって、そこからさらに細かい性能差を検討していく、というパーツ選択ができるのではないかと思います. ――手持ちの武器が最大4つ装備できたり、パーツカテゴリの内容が変化したり、戦い方もけっこう変わりますよね. 『ACV』の基本的な位置づけとして、武器は手に持つもの、という形でまとめました. その代わり、左右の手と予備に1本ずつの計4つ、どの機体でも装備できて、それをシチュエーションに応じて持ち替えながら戦えます. ストーリーミッションのように長いミッションをやる時は、単純に弾がこれまで以上に大量に必要ですし、かといって武器の弾数をむやみに増やす形にすると、弾数の少ない武器という個性が作れなくなる. パラメータが1つ死んでしまうので、それはまずいだろうと. それから、攻撃パラメータが3つになったことから、敵との相性を考えながら武器を選択していく必要もある. 武器の使い分けは、遊んでいるうちに学習できると思いますし、たくさんあるシチュエーションの中でいろいろな敵が出てくるので、武器をうまく使い分けて攻略できれば、自分が工夫をして勝ったという達成感につながると思うんですね. ――頭を使って戦う部分が増しているということでしょうか? そうですね. 4つの武器の使い分けがあって、ショルダーユニットでそれをどう補うか、あるいはリコンの使いどころや、地形の有効活用など、もう1歩変わった戦い方もできる. そこにチームの要素もあるので、戦い方の幅という点では広がっていますね. ――武器をいろいろ使い分けるのとは逆に、たとえばブレオン(ブレードのみ装備)のように1つ特化した機体というのはどうですか? それもアリですよ. 武器にしても、ハードポイント全部につける必要はないので. 販売店 極端にいえば1個でもいい. もっといえば1個もつけず、蹴りだけ、みたいな(笑). 『ACV』では、武器を1つも持っていなくても攻撃ができるので、何かにすごく特化したタイプを作って、それをチームの戦術の中で生かしていく方法も考えられます. ――どんな機体がいいかは、チームの戦術次第ということでしょうか. そのへんは、昔作っていた『クロムハウンズ』がノウハウになっている部分があります. 『クロムハウンズ』も相当幅が広くて、偵察タイプの機体を作ると、雑魚にも手こずるみたいなところがあるけれど、そういう機体にもちゃんと意味がありましたし. 逆に、一歩も動かず撃ちまくる要塞みたいな機体にも意味があったんですね. 『ACV』が『クロムハウンズ』と同じになることはないですが、要素として重なる部分はあると思っています. 今まで、1対1の戦いやミッションではあまり選択肢としてなかったような機体が戦術次第で戦力になる、そのくらい幅を広げたいという方針です. →武器の新たな特徴について(2ページ目へ).